唇の観察会 【密フェチ】
唇の観察会
「美味しい!」
粗く挽いた牛肉たっぷりのボロネーゼをフォークに巻きつけながら、後輩が無邪気に笑った。
「この前の和食も美味しかったけど、イタリアンもやばいです」
小さな顔に、少しアンバランスな大きな口。
そこにパスタがあっという間に吸い込まれる。
口元についたソースを、綺麗な赤い舌が舐めとった。
「先輩は食べないんですか?」
今度は白貝のムニエルに手を伸ばしながら、食事はせずにひとりワインを飲む私を不思議そうに見る。
「私はいいの」
(だって、一緒に食べたらじっくり観察できないじゃない)
「こんなに美味しいのに」
言いながら白貝を素手で掴み、貝の身を口の中に。
もちろん貝殻に残る旨味の染み出たスープも綺麗にすすり、汚れた指先を舌で舐める。
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