疑惑


30分前の給湯室での会話を思い出して
思わず口角が上がる
上司と目があって
不自然に目をさまよわせる







「お前のせいで、とんだめにあったよ」

斜め上から降る声

私を追い越して蛇口に伸びた腕と
肩が触れる、こすれる

「え…」

「こないだの電話」

恨めしそうな顔

濃くなる目元、


知らないの?その顔が一番の好物なのに。


「今夜はありがとうございました。おやすみなさい。」

私の真似らしいけれど、
気持ち悪い


「紛らわしいんだよ」

「ただの挨拶じゃないですか、」

「夜中の3時にかよ、」

「酔っててちゃんと挨拶したか覚えてなかったんですよ」

嘘、


「奥さんですか?」

「めちゃくちゃ取り調べうけたぞ」

コーヒーカップに口をつけて
目だけでこっちを見る

最高の、アングル




< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop