Dirty Hand (ダーティ・ハンド)【密フェチ】
「ぷふぁっ!!」
気が付いたら、私は唇を奪われていた。あごに当たるジャリジャリとした感触から、男性だと思う。
私は目をつぶり、唇を硬く閉じた。
もう抵抗はしない。何もする気が起きない。
感情を持たず、ありのままの事実を、そのまま受け入れるだけだ。
そして10秒も経たずに、彼は私から唇を離した。
「ゴメン……なさい」
蚊の鳴く様な声が聞こえた。
彼はゆっくりと立ち上がろうとしている。
私はとっさに、彼の指を掴んだ。
もう、ほとんど握力なんて残ってない。
けど、一度掴んだその指を、絶対に離したくなかった。