彼との1日



家族には彼のことを友達だと伝えた



「なんで友達な訳?」



「なんでって、ほんとのこと言っても信じてくれないでしょ?」



「じゃあなんで俺がトラだってわかったの?」



「そりゃ私だから!」



彼は少し肩を震わせながら笑いをこらえていた




「そんなことより早くどっか行こっ。」



彼の手を引いて荷物を持って玄関から飛び出した私は最初にデパートへと向かった




「ねぇ、トラの好みはどんな女の子?」



「え~、俺はあの白くてふわふわの子がいいかな~」



そう言って彼が指したのはデパートの一角にあるペットショップのショーウィンドウ




そしてその向こう側には白くてふわふわの可愛い猫がおもちゃで遊んでいた





「ごめん、やっぱ君は猫なんだね・・・」



「そりゃそうでしょ。」




私のテンションの下がり具合も気にせずのんきに周りを見ている彼は、どこからどう見ても人間なのにやはり猫であった




「あぁそうだ。」




「なに?」




「俺行きたいとこがある。」





そう言って歩き出した彼に私は黙ってついて行くことにした






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