金の十字に口付を
金に輝く十字架に、私はそっと口付た。
冷たく固い感触に、胸の奥が切なく疼く。

そのままそれを口に含んで思い切り歯を立てた。
私のつけた傷痕が、彼と共に永遠に残るように。

口の中で歪むのは、金の十字を象った彼そのもの。
栄誉と功績、そして罪。

歪んだ十字を確かめて、彼の胸へとそれを返して微笑んだ。

「わたくしは貴方を誇りに思います。
ですが、もう二度と貴方を戦場に赴かせはしません」

隣国の后として、今度は貴方を守りましょう。

彼は英雄の軍服を、私は王族のドレスを、脱げる機会などきっとない。

だから、きっと、これでいい。
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