笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
時間はあっという間に
過ぎていき、受験勉強が本格化してきた

先生との別れの日の
カウントダウンが
始まった気がした

『夏海、もう先生に
想いは告げないの?』

みどりが真剣な顔をして聞いてきた

わたしの答えに
迷いはなかった

『もう終わったんだよ。
言えるわけないじゃん。
好きだけど
高校に入ったら
新しい恋に
目覚めるように
頑張るしかないよ』

と笑い飛ばした

凌が複雑な顔をしていた

みどりも凌も
どうにもならない
わたしの恋愛に
お手上げ状態だった
のかもしれない

それでも
心配してくれていた

その優しさが
とても嬉しかった

『キスまでしたのに
もう何もなかった
ようになってるんだな』

凌がつぶやいた

『大人って
わからないねぇ』

わたしはおどけてみせた

本当はあのキスの
理由だって
聞きたいのに聞けない

もちろん自分が
傷付かないために

『でも
好きなんだろ?』

凌の言葉に
わたしはうなずいた
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