笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
本当に自分がわからない

今現在の自分が大嫌い

先生は少し黙って
深く考えてから

『ごめんな』

と小さくつぶやいた



違う、違うよ

悪いのはわたしなのに

先生は謝らないでよ

わたしはそんなのを
求めてるんじゃない

先生は何も悪くはない

『先生…あのね…』

わたしはようやく
先生の瞳を見ていた

【ん?】と言うように
わたしの目をまっすぐ
見つめ返していた先生




『わたし、先生が好き』









教室に流れる空気が
一瞬止まった気がした

自分が言った言葉を
かき消してしまいたい
気持ちが湧き上がる

言わなきゃ良かったと

先生はわたしから
視線をそらしていた

目を細めて、ジッと
窓の外を見ている

しばらく沈黙が続いた

たぶん【お前は、大事な生徒の中の1人だから】
とか言うんだよね

決まりきった台詞を

そんなのわかってるよ

だけど後戻りは出来ない

言ってしまったんだから
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