笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
『ごめんな。
また泣かせてしまった。もう夏海を離さないって思っていたのに』

先生はわたしを
強く抱きしめた




その手が…




その体が…




震えていた…




わたしたちは
抱き合って泣いた

先生の涙が
またわたしの涙を誘う

今はこんなに
傍にいるのに、もうすぐ離れてしまうなんて

考えられない

『せんっ…せぃ
わたし…』

言葉にならない

言いたい事が
伝えられない

先生の腕にもっと
力が入った

『ごめんな…』

先生もうまく言葉が
出ていない

何も言わず
ただ抱き合って泣いた

2人で体を震わせて
泣いていた

離れないように
しっかり抱き合って
泣いていた
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