笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
『ごめんね、先生』

落ち着きを取り戻して
先生の顔を見上げた

きっとわたしは
不細工な顔をしている

目は真っ赤になって
いるだろうし
腫れているだろう

そう思って、とっさに
先生から目をそらす

『こんな顔見せちゃってごめんね』

『そんな事ないよ』

そう言って、先生は
わたしの顎に手をかけて自分に向けた

恥ずかしさで、先生の
顔をまともに見られない

そんなわたしの気持ちを知っているのか
わからないけど、先生はいつもの笑顔で
わたしを見た

『夏海、もっと
俺を愛して。
俺が壊れちゃうくらい。もっとたくさん。
そして、いろんな
夏海を俺に見せて』

『先生もわたしの事
いっぱい愛してね。
先生の愛で
溺れるくらい』

優しいキスをした

あたたかい先生の
唇の感触

繋いだ小指と小指

この小指が
運命の赤い糸で
結ばれている事を願う

まだまだ夜は長い

ゆっくりと時間が
流れていく
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