笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
『あたし、好きな人が
出来ちゃったんだよね。でも、それを夏海に
話す勇気がなくて』

『好きな人?何で
言ってくれないの?
嬉しい事じゃん!』

『相手が問題なのよ。
夏海は絶対
喜んではくれない』

みどりが立ち上がった

そして大きく伸びをする

『わたしが喜ばないってどういう事?』

スカートをパンパンと
はらって、グランドが
見える所に向かって
歩くみどり

屋上のフェンス越しに
グランドを見ている
みどりの隣に、わたしも慌てて駆け寄った

みどりに、さっきまでの涙はなかった

そしてみどりの
視線の先には…

体育の授業をしている
しまっちの姿が
あったんだ…

生徒達と一緒になって
騒いでいるしまっち

もしかして…

みどりの好きな人って…

だからわたしに
話せなかったの?

わたしが喜ばないって
そういう事だったの?

みどりがわたしに
話せなかった理由が
ようやくわかった

みどりの辛さを
ようやく理解した
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