笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
『みどり…』

『あたし、しまっちの事好きになっちゃった』

みどりがしまっちを
目で追いかけたまま
言った

長い沈黙が流れる

その間も、みどりは
しまっちを見つめたまま

『だから、夏海には
話せなかったんだよ。
こんな事話したら
夏海を苦しめる事に
なるから』

ようやくみどりが
わたしの目を見た

今度はわたしが泣きそう

みどりは、わたしに
話したくても
話せなかったんだ

わたしの彼氏は
しまっちの親友

それだけなら良かった

わたしが先生と
付き合っているだけで
みどりには自然と
しまっちの彼女の存在を知る事になっていた

そして、幸せそうに
彼女の話をする
しまっちを、みどりは
見つめ続けていたんだ

その横で、何も
気付かずにいたわたし

みどりがどれだけ
辛い思いをしていたのか想像もしたくない
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