笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
『あたしと同じだね』

みどりがハンバーガーを口に運びながら言った

凌が悲しそうな
笑顔を見せた

辛さを隠しているような笑顔だった

『俺には部活と勉強しかなくなったな』

あんなに幸せそう
だったのに

みどりの時も
同じ事を思った

みどりは取り乱して
泣いていたけど、凌は
必死にこらえている

そんな気持ちが
強く伝わってきていた

『ごめんな、こんな事で呼び出して』

食べ終わった凌が言った

『何言ってんのよ!
当たり前の事じゃん』

『いっつもお前らに
支えてもらって
ばっかりだな』

『そんな事ないよ。
お互い様じゃん』

凌が街を行き交う人を
見ていた

人の別れは、わたしの
心までも切なくしている

それから、わたしたちはしばらくそこに居た

凌を励ますとかじゃなく

ただなんとなく
そこに居た

それだけで
安心出来たから

ごめんね、凌

わたしには
それくらいしか
してあげられないよ

何も出来ない
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