笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
みどりの表情が気になる

気になって、何度も
2人が居る方を見た

なのに、みどりの表情
どころか、しまっちの
表情さえも見えなかった

『夏海。どうして言ってくれなかったんだ?』

先生の顔はとても
悲しそうだった

『1人で辛い思い
してたんだろ?』

先生がうつむくわたしの髪をかきあげる

先生に合わせる顔もない

自分たちの事じゃない
にしたって、先生に
隠し事をしていたわたし

先生の目を見る事
さえ出来ない

『言えない気持ちを
理解してるつもりだけど俺は夏海が1人で
辛い思いをしてたんだと思うと…』

『辛かったけど
わたしよりも
もっと辛かったのは
みどりだから』

わたしは先生の
言葉を遮った

『牧野も辛かった
だろうな。大地は
男として、最低な事を
してしまったんだから』

『しまっちも大人だし
ちゃんとわかってるよ』

『でも、大地のせいで
牧野はすごく
傷ついてるだろ?』

『うん。傷は浅くは
ないと思う。わたしね
みどりが親友だし
とても大事なんだけど
美穂さんの事
知らない人なわけじゃ
ないし、どうしたら
いいのかわかんなくて
先生にも相談したかった
んだけど、それも
出来なくて』
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