笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
先生がわたしの頭を
ポンと叩いた

『夏海は1人で
抱え込みすぎだよ。
俺が頼りないか?』

『そんなんじゃないよ!それは違うよ!』

必死で否定した

先生が自分を責める
必要はないのに

わたしは先生を
傷付けてしまった

自分で解決出来ると
思った事が、裏目に
出てしまった

そんなつもりじゃ
なかったのに

『辛かっただろ?』

わたしは頷いた

それと同時に
涙が零れ落ちた

『大地と美穂、今あまりうまくいってない
みたいなんだ。言い方が悪いかもしれないけど
大地はむしゃくしゃ
していただけかも
しれない。本当の
気持ちは大地にしか
わからないけどな』

そんな辛い事言わないで

みどりが可哀想

『でも、みどりは
本気だったんだよ』

『わかってるよ。
牧野が遊びだなんて
思ってない』

『みどり、それでも
いいって言ってたんだ。ようやく落ち着いて
きてたの』

『あのバスケ見てたら
落ち着いてるようには
見えなかったけどな』

何も言えなかった

みどりの試合ぶりは
本当に散々だったから

ここで先生とわたしが
なんだかんだ言っても
どうにもならない

本人次第だから

『とにかく、今の
俺たちに出来る事は
ないって事だな』

先生はタバコに
火をつけた

何も言えないまま
タバコの煙だけが
揺れていた
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