笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
今日はHRだけで終わる

『すぐ体育館行く?』

みどりが元気に言った

わたしたちは同じバスケ部に所属している

『まだ教室で待ってる。どうせ早く行っても始業式の片付けとかさせられそうじゃん?』

『じゃ、ちょっと隣に遊びに行ってくるね』

そう言ってみどりは隣の教室に走って行った

わたしは窓から見えるグランドの景色に視線を落としていた

グランドには桜が綺麗に咲いているのが見えた

野球部のユニフォーム姿

陸上部のジャージ姿

まだ夏ほど暑くなくて運動部には一番いい季節が訪れていた

窓から見える景色をボーッと見つめながら、また先生の顔が浮かんでくる

そして、タバコの微かな匂いも蘇る

のぞき込まれた時の優しくて強い眼差しが痛いくらいに思える

どんどん先生の事で頭がいっぱいになる

見上げてしまうほどの長身に、包み込むような温かい胸元

先生…
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