笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
わたしはサンドイッチをほおばった

『美味しい!』

『だろ?俺の味覚は
確かだっただろ?』

またわたしに笑顔を
見せてくれた

幸せなこの時間がずっと続いて欲しかった

叶わない事は
わかっているけど
そう願った

サンドイッチを
缶コーヒーで流し込んだ

『美味しい
デザートの登場!』

なんて可愛い台詞を
言いながら、ゼリーを
取り出した先生

『このゼリー
あそこのコンビニにしか置いてないんだよ』

なんて言いながら
ゼリーを食べてる

わたしも一口食べる

『どぉ?』

先生と食べるゼリーは
不味いはずがない

どんなに嫌いな
食べ物だって
美味しいと思えるはず

『ホント美味しい』

『だろ?だろ?』

ニコニコしている
先生の顔

わたしに向けられている笑顔

こんなに幸せな時間を
過ごせるなんて

ゼリーを食べ終わって
先生が
タバコに火をつけた

フゥーっと吐き出す
煙の匂い

先生のしぐさが全部好き

今日は初めて見る
しぐさがたくさん

先生がタバコを
吸い終わったら
また来た道を戻って
帰るだけ

神様…

もっと先生と
一緒に居たい…

叶わない願いをしてみる

先生がタバコを消した

わたしの心の中は
急に寂しさで
いっぱいになった
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