笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
先生の部屋は
落ち着いた雰囲気の
部屋だった

黒の家具で
統一されていた

本棚の上には
鍵が置かれていた

わたしがあげた
イルカのキーホルダーも

またわたしは
詮索してしまっていた

『麦茶でいいか?』

先生がキッチンから
問いかける

わたしは、クッキーを
持ってきた事を
思い出して

『先生、お母さんが
先生にって』

クッキーの包みを
先生に渡した

『わりぃな。
気ぃ遣わせちゃったな』

キッチンに2人で立つ
わたしと先生

心臓が張り裂けそうだよ

『今出して
食べよっか?』

先生が包みを指差す

『そうだね』

そう言って、わたしは
テーブルに
クッキーを出した

みどりと凌は
何かと先生の部屋を
詮索していた

わたしと違って
堂々と詮索している
2人がうらやましかった

『あまり
見るんじゃねぇぞ』

先生がクッキーを
頬張りながら言う

『このクッキー
美味しい!
黒木の母ちゃんに
ちゃんと
お礼言ってくれよな』

なんてまた笑顔を
向けてくれるんだ
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