笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
『そろそろ
帰ろうぜ』

凌の言葉に
急に寂しくなった

『うん、そうだね。
先生ありがとね』

そう言ったわたしに
先生は笑顔で

『これからも
わかんなかったら
いつでも聞きに
来るんだぞ』

と言ってくれた

『今日夏海の
誕生日なんだよ!』

みどりが突然言い出す

先生はわたしの顔を見て

『おめでとう』

と笑顔を向けてくれた

わたしは
何か欲しかった

15歳の誕生日の記念に

先生の家に
来られただけでも
十分だったけど

『先生のシャープペン
もらってもいい?』

勇気を出して
言ってみた

『こんなのが
プレゼントでいいのか?』

『うん。これで
勉強したら、頭良く
なりそうじゃん?』

先生は笑いながら
わたしに
シャープペンをくれた

『ありがとう』

嬉しかった

最高の誕生日
プレゼントだった

わたしは
ペンケースの中に
最高のプレゼントを
しまい込んだ

『さぁ、行くかぁ』

凌の言葉に立ち上がった

『おじゃましましたぁ』

わたしたちは
声を合わせた

先生は笑顔で
手を振っていた
< 89 / 383 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop