あくしゅ。
「もうすぐ家だからねー」


「ねぇ、本当にいいの?

 由香の家で……」


「いいの、いいの。気にしないで」


会社での勤務が終了し、

里美と由香は

並んで由香の家へと向かっていた。


お祝いとはいえ突然の由香の申し出に、

里美は今も申し訳なさそうにしている。


そんな里美を引っ張るように

由香は家へと急いだ。


「ほら、着いたよー」


「お、お邪魔します」


里美はゆっくりと中へと入った。


実は由香の家に来たのが

今回初めてだったのだ。


いつも会社や街でしか会わないので

変に緊張していた。


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