無口な猫の手懐け方法。
そこで私はやっと男のほうを見る。
「どうした?」
男は私の視線に気付き、軽く首を傾げた。
切れ長の二重の目にスッと通った鼻筋、形のいい唇は、誰が見ても美形としか言いようがないほど整っている。
「…………。」
「ああ。アメな」
私が言わんとしている事が分かったのか、男は服のポケットをゴソゴソ漁る。
「っと、確かこっちに……お、あった」
男はズボンのポケットから、袋に包まれた丸い飴玉を取りだした。
「レモン味だけど、いるか?」
男はアメの袋を摘まみ、私に見せるように前へ突き出す。
私はコクンと頷き、手の平を差し出た。