初恋-はつこい-
いつも以上に

冷たい視線を向ける玲子に、

真由は背筋が凍った。


「ねぇ、あんた……長嶋さん」


杏奈が感情を少し抑えて

玲子を呼び止める。


「あら、石原さん。何かしら」


白々しく玲子が答える。


玲子のその態度に腹が立ちながらも、

杏奈は呼吸を整えて言葉を続けた。


「真由の自転車のサドル、

 あなたが取ったでしょ」


杏奈の言葉に

エリとカヨが酷く動揺している。


しかし玲子は冷静に答える。


「さぁ、何のことかしら」



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