初恋-はつこい-
圭輔だ。


一瞬の内に

学年全体がざわつき始めた。

「香坂くぅん、

 痛くて立てないよぅ」


まるで子猫のように

甘えた声で玲子は言った。


「先生、俺が保健室に連れて行きます」


そう言うと

圭輔は玲子をひょいと抱き上げ、

保健室へと向かって行った。


学年のざわめきがより一層激しくなる。


香坂君、今、長嶋さんのこと、

“玲子”って言った?


香坂君と長嶋さんって

どういう関係なの?


長嶋さんが言ってた

“私の香坂君”て、もしかして……


真由の頭の中は

まるで吹雪のように荒れていた。


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