初恋-はつこい-
「あ、ごめん、杏奈」


軽やかな足取りの杏奈とは

対照的に、

真由の足取りは重く、

心も深く沈んでいる。


「真由、

 まだあのこと思い出してんの」


あのこと、

圭輔と玲子のあの場面のことだ。


「う、うん……。

 どうしても頭から離れなくて……」


真由の言葉に

杏奈は軽く溜息をつきながら言った。


「そりゃ、気になるだろうけどー。

 気にするだけ真由が疲れちゃうよ」


杏奈の言葉に真由は軽く頷く。



< 141 / 485 >

この作品をシェア

pagetop