初恋-はつこい-
「一着、2組の菅野さん」


高らかに

アナウンスが校庭に響き渡る。


「やったぁ。私、勝ったぁ!」


毎年、

後ろから数えた方が早いほど

真由は足が遅いのだが、

初めて一着になった喜びよりも、

玲子に勝った喜びの方が強かった。


隣の2着枠には

屈辱的な表情な玲子がいる。


「この借り、

 ……いつか返してやるから」


玲子が真由に向かって

小さくでも鋭く呟いた。


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