初恋-はつこい-
それを感じ取ったのか

玲子は一度

真由を強く睨みつけた後、

猫なで声で圭輔に話しかけ始めた。


「ねぇ、香坂くぅん。

 図書日誌、これで大丈夫かなぁ。

 玲子、わからなくってぇ」


圭輔は玲子の顔を見て

差し出された日誌を受け取った。


パラパラとめくる音が図書館に響く。


「ん、大丈夫じゃん。心配ないよ」


圭輔はそっけない態度で

玲子に日誌を返す。


「本当?

 香坂君に大丈夫って言ってもらえて、

 玲子安心したぁ。

 ありがと、香坂くぅん」


圭輔にお礼を言いながら

玲子は真由をキッと睨んだ。



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