初恋-はつこい-
暫くして

圭輔が図書室に戻ってきた。


今までに見たこともない

鋭く尖った刃物のような目で、

圭輔は真由を冷たく

睨みつけている。


その視線に

真由は全身の血の気が引き、

今にも泣き崩れて

しまいそうだった。


「おい、菅野」


圭輔の地響きのような声に、

真由の身体が震えだす。


「何で、

 玲……長嶋にあんなことすんだよ」


圭輔の怒りに

逃げ出したくなる気持ちを

抑えながら、

真由はどうにか

誤解を解こうと口を開いた。



< 179 / 485 >

この作品をシェア

pagetop