初恋-はつこい-
ふと真由は圭輔を探した。


しかし、

いるはずの席に圭輔の姿はない。


「あれ、香坂君……」


あまりにも退屈だったのか。


それとも聴くに値しない

演奏だったのか。


真由の心は一気に深く落ち込んだ。


そのまま真由は舞台袖にはけた。


「真由ー、お疲れ」


真由の肩をぽんと叩きながら

杏奈が声を掛けた。


控え室までの道を2人は並んで歩く。


「杏奈こそ、お疲れ様」


「私的には完璧な演奏だったな」


胸を張りながら

杏奈は堂々と言った。


自信に満ち溢れた姿に

真由は微笑む。


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