初恋-はつこい-

校舎から出て、

着いた先はグラウンドだった。


そこには

小宮南のサッカー部員が

練習をしていた。


その先輩の中に混じって、

いつの間にかジャージに

着替えた圭輔がいた。


「あれ、確か香坂君って

　足怪我してたんじゃ……」


真由が不思議な顔をしながら

小声で言う。


しかし真由の心配をよそに、

圭輔が軽々と華麗な

リフティングを見せる。


ボールを自分の一部のように

滑らかに動く姿に、

真由はしばらくの間見とれた。


「カッコイイ……」


自然と真由の口からこぼれた。