初恋-はつこい-
真由を呼んだ圭輔の顔が、

少しだけ

赤く染まっているように

真由には見える。


圭輔は2,3度

周りを見回してから、

右手をすっと差し出した。


「これ」


たった一言だけ言い、

右手に握られていた紙切れを

真由に渡すと、

足早に自分の席へと

戻っていった。


真由は圭輔から渡された

紙切れをじっと見つめる。


放心状態の真由の

背中を押すように、

杏奈が真由をつつきながら

聞いてきた。



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