初恋-はつこい-
一体何の用なんだろう……


玲子たちの後を

ゆっくりと歩く。


真由の心は

言いようのない不安が

支配していた。


このまま部屋に

戻ってしまいたい、

そう思いながらも

玲子の言葉に逆らう勇気は

全くなかった。


ふと玲子の歩みが止まる。


そこは最上階の

階段の踊り場だった。


普段、宿泊客が来るような

場所ではなく、

ひっそりとしていて

それが余計真由に恐怖感を与えた。


「菅野さん」


後ろを向いたまま

玲子が冷めた口調で言う。



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