初恋-はつこい-
暫くの沈黙が続く。


圭輔は視線を真由から外し、

部屋の隅を見ている。


真由の心臓は

飛び出そうなくらいに

暴れている。


鼓動が激しすぎて、

圭輔に聞こえてしまうのでは

と思うほどだ。


真由の頭の中は真っ白だった。


圭輔と何を話せばいいのか、

視線はどこに

持っていったらいいのか、

さっぱり分からなくなっていた。


「……あの、さ」


圭輔がゆっくりと

真由に声を掛ける。



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