初恋-はつこい-

おそろい

花帆と杏奈に支えられながら、

真由は帰りの

新幹線に乗り込む。


玲子に突き飛ばされた衝撃は

思っていた以上に酷く、

まだ一人では歩けないほどだ。


体は打撲跡で痛々しいが、

真由の心は

甘い蜜で満たされていた。


……香坂君、ありがとう。


真由はそう心で呟く。


真由の胸の名札には、

昨日圭輔に渡したのと同じ

虹色の水晶のキーホルダーが

光っている。


そしてカバンの中には

圭輔から貰った栞が入っている。


京都観光は全く出来なかったが、

圭輔との時間を

僅かでも過ごせただけで、

真由の胸はいっぱいだった。



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