初恋-はつこい-
圭輔の今の言葉が

現実のものなのか

分からなくさえなっていた。


「え……。い、一緒に……」


真由は小さな声で言うと、

圭輔の表情が曇り、

「こんな誘い、ダメだったかな」

と呟いた。


その言葉に

真由は首を大きく左右に振る。


「そんなこと……。嬉しい!」


真由は赤く染まった顔で

にっこりと笑いながら言うと、

圭輔は小さく息を吐いてから、

「よかった。じゃ、当日」

と言い、

その場を去ろうとした。


と、その時、

真由の背後から、

「香坂くぅん」

まるで

メープルシロップのような

甘ったるい声が聞こえた。


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