初恋-はつこい-
真由はゆっくりと

後ろを振り返る。


パタパタと走りながら

玲子が満面の笑みで

近付いてきた。


真由と目が合うと

玲子は真由をキッと睨みつけ、

わざと真由の肩にぶつかった。


その衝撃で真由は

よろけて圭輔から

少し離れてしまった。


そんな事も全く気にせず、

玲子はまた甘ったるい声で

圭輔に擦り寄る。


「ねえ、香坂くぅん」


呼び掛けられた圭輔は

大きく息を吐きながら、

「なぁ、

 その声出すの、やめてくんね」

と言った。


しかし玲子は怯む様子もなく

そのままの声で言葉を続ける。



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