初恋-はつこい-
「ねえ。

 文化祭、一緒に回ろっ」


まるで小さな子供が

お菓子をおねだりするかのように、

玲子は上目遣いで

圭輔にお願いする。


しかし圭輔は

真由をちらっと見てから、

玲子をしっかりと見つめ、

「ごめん。一緒には回れねぇ」

ときっぱりと断った。


だが玲子は納得がいかない様子で、

圭輔の腕をがっしりと掴み

再度お願いした。


「ねえねえ、お願いー。

 玲子と一緒に回ってぇ」


すると圭輔は玲子の手を振り解き、

「先約がいるから」

と言うと

1組の教室へと入っていった。



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