初恋-はつこい-
「それにしてもさ」


花帆のトーンが少し下がる。


「ん、どうしたの」


真由は覗き込むように

花帆を見つめる。


「あ、いやー。

 あいつ、長嶋さん。

 あの時の感じが

 怖かったから……」


花帆にそう言われて

真由はその時の玲子の姿を

思い出した。


悪魔のように冷たい目、

言葉。


心も身体も

ズタズタにされてしまいそうな

程だった。


「何事もなければ

 いいんだけど……」


花帆は真由を見つめながら

呟いた。



そして準備期間は

あっという間に過ぎ、

とうとう文化祭当日を迎えた。


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