初恋-はつこい-
お互いの手が

触れるか触れないかの距離。


暴れる鼓動が

聞こえてしまうのではないか

と思うほど、

真由は全身に

緊張が走っていた。


歩き方もなんだかぎこちない。


隣を歩く圭輔を

見ようかと思うが、

そんな勇気はなく

ただ一生懸命に歩調を合わせていた。


「なぁ、菅野」


圭輔に呼び掛けられ、

心臓が飛び出そうなくらい

びくんとした。


「な、何?」


小さく返事をすると

圭輔は前を向きながら、

「菅野はどういうのが好きなの?」

と訊ねた。



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