初恋-はつこい-
杏奈は食い入るように真由を見つめる。


大きな瞳が余計に丸くなっていた。


「えっと……。自己紹介したよ」


「そうじゃなくってさー。

 香坂君よ」


真由は杏奈の気迫に押され気味になり、

少し身体を後ろに反らせつつ話し始めた。


「香坂君と一緒の机で、

 私の斜め前に座ってて……。

 ずっと……見とれてた」


杏奈は真由の言葉に

何か言いたげな表情をしながら

軽く両腕を組んだ。


しばらくした後、杏奈は口を開いた。


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