初恋-はつこい-
放課後。


鉛のように重い足取りで

真由は図書室へと向かう。


月に1回開かれる委員会。


いつもなら

圭輔に逢える嬉しさで

いっぱいなのだが、

今日の真由は

逃げ出したくなる程、

行くのが怖かった。


……香坂君、あの事、

どう思ってるんだろう。


不安の波が押し寄せる。


しかし逃げ出すわけにはいかない。


真由は呼吸を整えると

ゆっくりとドアを開いた。


圭輔はすでに

いつもの場所に座っていた。


その向かいには玲子の姿。


圭輔の隣には

勇二がそっぽを向いて座っている。


震える足で一歩一歩

自分の席へと近付く。



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