初恋-はつこい-
真由の住むマンションに着くと

2人は別れた。


「また明日ね」


「うん、バイバイ」


真由はマンションの入口へと向かった。


エレベーター前には

一人の女の子が立っている。


真由を冷たい目で睨んだ玲子だ。


「菅野真由さん」


玲子が静かに呼び掛ける。


その響きに

真由は一瞬で全身を恐怖で覆われた。

「は、はい……」

「あなた、委員会の時、

 ずっと香坂君を見てたでしょ」


玲子に気付かれていた

ショックと恥ずかしさで、

真由の鼓動がどんどん早まる。


「あなた、香坂君のこと、好きなんでしょ」


ずばり言い当てられてさらに動揺する。


早くこの場から逃げ去りたい衝動に

駆られた。


「でもね。

 ……あなた、香坂君に近付かないで!」


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