初恋-はつこい-
「お、おはよ

 ……香坂君」


落ち着かせていたはずの

鼓動が再び早まり始める。


真由の頭は

すっかり真っ白になってしまい、

慌てて杏奈と花帆の顔を

交互に見た。


すると杏奈は両手を胸に当て、

“大丈夫、落ち着いて”

と口を動かした。


花帆はにっこりと微笑みながら

真由の肩を優しくぽんと叩いた。


二人の仕草に

真由の心も少し落ち着き、

呼吸を整えてから口を開いた。


「あ、あのね、香坂君」


真由の呼び掛けに少し冷たく、

「何」

と圭輔がこたえる。





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