初恋-はつこい-
「お、おはよう。

 香坂君」


震える声で

なんとか圭輔に挨拶を返す。


ふと圭輔が真由の方を見た。


その瞬間、

圭輔の目が見開くのが分かった。


「か、菅野……。

 そ、それ……」


見る見るうちに

圭輔の顔が赤く染まる。


鮮やかな赤い生地に

小花の刺繍が施された振袖。


真由は着付けの出来る母親に

着物を着付けて

もらっていたのだ。


少し大人っぽい雰囲気の真由に、

圭輔は戸惑い

視線をどこへ持っていけば

いいか困っていた。


「お、お母さんに

 着せてもらったの。

 へ、変、かな……」


真由もまた顔を赤らめながら

圭輔に尋ねた。


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