初恋-はつこい-
真由はさっきまでの

温かで満たされた気持ちが、

風船のようにパンと

割れてしまったような気がした。


「私、何も悪い事……」


真由が必死に

反論しようとするが、

その言葉に

かぶせるようにして

玲子が大声で叫んだ。


「あーら、菅野さん。

 いたの?

 気付かなかったわ、

 ごめんなさぁい」


玲子の言い様に

真由は呆然とする。


何の言葉も出てこない。


すると玲子が

真由の存在を思いっ切り無視して、

圭輔の腕にまとわりつき

猫のように甘える。




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