初恋-はつこい-
「菅野」


ふと後ろから呼び掛けられ、

真由はゆっくりと振り返った。


すると穏やかに

優しく微笑んだ圭輔が

そこにいた。


「あ、香坂君……」


圭輔から声を掛けられるとは

思っていなかった真由は、

嬉しさで鼓動がどんどん早まった。


「今日、本番だな」


気のせいか、

圭輔はいつも以上に

表情が柔らかい。


その表情に真由の心は暴れだす。


「そ、そうだね」


真由は頬をほんのり

ピンクに染めながら言う。


「お互い、頑張ろうな」


“頑張ろう”


圭輔から思ってもいなかった

言葉を掛けられ、

真由は飛び上がって

しまいそうなほど舞い上がった。


「う、うん!」


真由は満面の笑みで返事をした。




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