初恋-はつこい-
「ちょっと、菅野さん。

 邪魔、どいて」


獲物を狙うような

鋭い目つきで真由を脅す。


真由は一瞬怯みながらも、

「私、香坂君と話して……」

と反論しようとしたが、

その言葉を最後まで聞かずに、

玲子が圭輔の腕を絡め取って、

「ねぇ、香坂くぅん。

 玲子と一緒に帰ろ」

と言うと強引に

圭輔を引っ張り去っていった。


少し後ろから見ていた杏奈が

真由に近付く。


「香坂君は、

 あいつのモノじゃないっての」


と言い、

玲子の後姿に向かって下を出した。


「あいつの事は無視して。

 私たちも帰ろ」


真由の頭を優しく

ぽんと叩きながら言った。


「う、うん。帰ろっか」


真由はこくんと頷き、

高校を後にした。




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