初恋-はつこい-
真由の家のキッチンで、

真由と花帆は

早速手作りチョコを作り始めた。


真由の母親は気を遣ったのか、

「ちょっと

 お買い物行ってくるわね」

と言い残し、

にこっと微笑みながら

出掛けていった。


お菓子作りの得意な

花帆の熱血指導により、

真由の香坂君への

本命手作りチョコ作りを始める。


日頃まともに

包丁を握ったことがない真由は、

恐る恐る包丁を手にし、

震える手で

板チョコを細かく刻む。


「あー、危なっかしいよー。

 私がちゃちゃっと

 やっちゃいたい」


隣で見ている花帆が

時々目をそらしながら言う。


「花帆が作ったら意味ないもん」


頬を膨らましながら

真由が言う。


花帆は『はいはい』と口を動かし、

真由の様子をただじっと見守る。


真由はどうにか

板チョコを刻み終わり、

今度は湯せんしながら

チョコを液状にし始める。




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