初恋-はつこい-
そして真由は

自分の指定した公園へと

やってきた。


通称ぞうさん公園。


大きな象の鼻の

滑り台があることから、

地域の皆から

親しみを込めてそう呼ばれている。


真由は早まる鼓動を

落ち着かせるように、

ゆっくり深呼吸しながら

象の体に寄りかかっていた。


すると遠くの方から

見慣れた長身の影が見えた。


「お待たせ」


圭輔は普段と変わらず

柔らかい笑顔を

真由に見せながら歩み寄る。


それが真由の緊張を

倍増させていた。


「き、来てくれて

 ……ありがと」


蚊の鳴くような小さな声で

真由は精一杯のお礼を言う。


圭輔は真由の

30センチ程前で立ち止まった。



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