初恋-はつこい-
「か、菅野」


少し乱暴な声が

後ろから聞こえた。


真由が目をこすりながら

振り返ると、

そこに勇二が立っていた。


「つ、土屋君……」

勇二に呼び掛けられ、

真由はどうしたらいいのか

分からず、

ただ呆然と立ち尽くしていた。


すると勇二は

真由に近付いたかと思うと、

急にひざまずき

真由をじっと見つめながら

言い始めた。


「お、俺……。

 菅野のことが好きだ。

 大好きだ!

 このまま別の高校になんか

 行きたくねぇ!

 お願いだ、

 俺と付き合ってくれ!」


勇二はひざまずいたまま

じっと動かない。



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