初恋-はつこい-
真由は周りを

きょろきょろと気にしながら、

勇二の肩を優しくぽんと叩き、

「土屋君、

 お願いだから立って」

と柔らかく言った。


真由の願いを聞き入れ

勇二はその場に立つと、

もう一度真由をじっと見つめて、

「俺と……

 付き合ってくんねぇか?」

と今度は優しい口調で尋ねた。


真由は俯き少しの間、

口を閉じた。


そして小さく息を吐くと

勇二の顔を見て口を開いた。


「土屋君。

 ごめん、やっぱり、私、

 友達としてしか見れない……」


真由の返事を受けて

勇二は顔をしかめると、

何も言わずに走り去ってしまった。


真由は勇二の後姿に向かって、

土屋君、本当にごめんね……

と心の中で謝った。



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