初恋-はつこい-
花帆だ。


うつむく真由の頭を

優しく2,3回叩くと、

花帆は黒板に向かい

大きく書かれた文字を消し始めた。


「誰が誰を好きだなんて自由じゃない!

 それを人がとやかく言う必要なんて

 ないじゃない!」


花帆は怒りのままに叫んだ。


あまりの気迫に教室内が静まる。


黒板の文字を消し終わると花帆は向き直り、


「もう、こんな事すんじゃないわよ!」


と皆を睨みつけながら言った。


そしてゆっくりと真由に近付いた。


「真由。大丈夫。大丈夫だからね」


「うん。ありがとう、花帆」


花帆の気持ちに真由は心が温かくなる。


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